4/21のはなし

4/21は私にとって特別な日である。いや、絶対に好きなものに対して行動すべきだと直感した日である。

 

2016年4月21日、私は実家にいた。昼から予定があったのでゆっくり朝はしようと、ダラダラ寝ていた。そんなとき、父親が走って自室にやってきて一言。

 

「プリンスが死んだぞ。」

 

ん?どういうことだい?確かに一週間前くらいにインフルエンザになってたけどな。あれれ。とぼーっとした頭でテレビを見た。

 

プリンスさん急死という文字がガーンと目にとまった。信じられなかった。

 

私にとってはプリンスは特別な存在であった。おそらく中学二年生の頃であろう。ませたガキだった私は、三宮の中古CD屋に足繁く通ってオーナーと話すのが楽しみであった。(今思えばオーナーさん優しかったな。)当時michael jacksonにバカハマりしていた僕はマイケル以外に魅力を感じることができなかった。そんな私に、オーナーは一枚の自作DVDを僕にくれた。オーナーが言うにはPrinceという歌手らしい。マイケルが好きならこっちもいいぜと言った。

 

一応もらっておき、数週間放置していた。そして、ある日親がでかけ家に一人の状態になった。僕は暇だった。

 

ふと、あのDVDのことが頭をよぎった。僕は放置されたDVDを取り出し再生した。暗いドーム状の会場に車が一台やってくる。ドアが開き、さっと小柄な男性が飛び出した。女性二人と怪しいダンスを踊り始めた。そして、一曲目が始まる。曲名は"Erotic City"

 

その瞬間親が帰ってきたので急いで消した。何か後ろめたい物を見た気がした。親には当然言えなかった。もし、僕がプリンスを聞いていると言ったらどんな顔するだろうと考えると言えなかった。

 

しかし、数日経ってもメロディーが頭からこびり付いて離れない。なんだこの中毒性は。中学生ながらに感じたカリスマ性、独特の音楽、世界観。そこから狂ったようにプリンスが好きになった。そしてファンクを知った。

 

私にとってプリンスは音楽を教えてくれた人なのだ。音楽とは。ライブとは。アルバムとは。絶対に大学生になったらライブに行くぞという目標を立てて過ごしていた。

 

しかし、夢は夢のままになってしまった。あのとき、非常に悔しかった。ちょうど亡くなる2ヶ月前くらいにオーストラリアでライブをした後だったはずだ。行こうと思えば行けたはずだった。しかし、お金や部活などを理由に先延ばした。80歳位まで生きてくれるだろうと考えていたから。いや、そう思わせてくれるほど彼はワーカホリックだったし、隠居なんて考えてないだろうとか勝手に考えていた。

 

永遠にあると信じていた人が亡くなってしまった。一度くらい行けるだろうと思っていたライブにも行けなくなってしまった。諸行無常の響ありとはこのことであろう。

 

今を大事に、今したいことをするという人生のモットーはこの出来事から生まれた。私にとってプリンスは追いかけても追いかけてもたどり着けない存在であるのだ。

 


Prince - I Could Never Take The Place Of Your Man (Official Music Video)