予定変更

 いそいそと予約変更、予定変更、切符変更。台風で大きく予定変更を余儀なくされた、今回の北岳登山。こうやってテキパキと変更できるのも、今までの経験があってのことなのかもしれないとふと感じた。危険を冒さない。油断をしない。リスク管理が必要である。まるで人生計画のミニチュア版のようだ。山の計画は上手く立てれるのに、実際の人生は上手く行かないのが不思議だけれど。

 なぜ登山をするのかということをもう一度考え直しながら、今回は南アルプスに向かった。スポーツをするという気分でもないし、旅行という気分でもない。半々な気持ちで向かっているなと気付く。登山は観光とスポーツをミックスできるところが自分にとって居心地が良いのかもしれない。遠くを見つめ、あの山この山と思いを馳せるのもいいし、ガツガツコースタイムと戦いながら登るのもよし。下山後は各地の銭湯を巡り、喫茶店に行くのも良い。毎年のように同じ街で降り立ち、いつものコースを巡るのも面白い。このように考えると、登山をしにいっているのか、下山後を楽しみにしているのかさっぱり分からない。

 数日空けた自分の家に帰り、いそいそと片付け。ザックの中身は一度放置してしまうと経験上、しばらく放置することになってしまうから急いで片付ける。いろんなゴミや洗濯物をやっとこさ片付けて、いつも飲んでいる珈琲を飲むとやっと帰ってきたという実感が湧く。雄大な景色を見つめ、ここに住みたいと考えるときもあるけれど、眺望を見て美しいと感じるのは、普段の生活があってからこそなんではないか。普段の生活が平凡で退屈であればあるほど、山頂の景色は刺激的であるのではないか。そんなことに気付くと少し悲しい気分になる。