受け取ってくれよと水やりをする。

 はいどうぞ~と後輩からじゃがりこを貰う。新人教育をしなければならず、何歳も下の後輩と仕事をしている。そんな彼女がよくよくじゃがりこを買ってくる。あまり買うことがないお菓子。先輩も食べてくださいと言われるので、いただく。味はハニーバターチキン。確かにチキン。ん?いや、なんか変だな。チキンの味はしているが実際に食べているのはじゃがいもである。違和感を覚えることなんてなかった。しかし今大きな違和感を覚えている。味はするけど実際に、食べている飲んでいるものは別というものが多すぎる。フルーツ味の水とかお菓子とか。誰も何も言わないが、よくよく考えると怖い。味はするけれど、食感や形が別にあるものを、ただただ受け入れている。チキンなのに、実際はじゃがいもを食べているなんて恐怖。じゃがりこ恐怖症になってしまった。というか大半のスナック菓子が怖くなってくる。野菜も肉もないのにBBQ味。魚介なんて入ってないのにシーフード。ああ怖い怖い。見たもの、イメージしたものをそのまま食べさせておくれよ。

 ここ最近、暑い。木造建築の我が家はどんどんと室温が上昇している様子で、植物たちがイキイキしている。しかし一階と二階に置いている植物の成長スピードが明らかに変わってきた。どうにもこうにもほっておけず、一階に置いている植物全てを二階に上げてしまった。寒い寒い冬を超えて枯れそうになりながらも、生きている植物たちに最大限の世話をしていたい。毎日毎日動きは少ないが、ときどき目が止まったときに「大きくなったなぁ」と感じることが嬉しい。何よりも変化をする植物たちを見るのが楽しい。大きくして、増やして友人にあげるのも面白い。とにかく元気でいてくれという気持ちでいる。人には決して投げれない気持ちを投げているような気がする。気持ちを持っているのかわからないが、表現できない植物に向かって、勝手に抱いた希望をストレートで投げているような感覚で申し訳ない。しかし仕方ない。受け取ってくれよと水やりをする。