今は寿司を食べなければならないと脳が判断を下したんだろう

 仕事終わり。ラインに連絡。「風呂いかへん?」友人から。「もちろん」と僕は連絡した。飯も食わなあかんな~ということで湊川で合流し、店を探す。くるくる回るが店が殆ど開いてない。こういう状況だもの。仕方ない。開いていた源八寿司に入る。寿司屋の匂いがする。ふと寿司屋の匂いはなんだ?という疑問が生まれた。周りを見渡す。そして考える。清涼感があってシャキッとする匂い。なんだろうなんだろう。ガリの匂い?銀シャリの匂い?うーん、わからん。わからんなあ。そんなことを考えていたが、2階にあがり座敷に座るころにはどうでもよくなってしまった。深く深く考えることは楽しいが、今は寿司を食べなければならないと脳が判断を下したんだろう。

 メニュー並ぶ寿司。ひとつひとつ選んでも楽しいがラストオーダーが近いために、セットメニューしよか。並か上。二択。並にしようかと悩んだ。並かな~と独り言。僕らはもう社会人。学生時代とは違う。うまいもんを食うんや。そうやろ?と友人に言われ、僕も上にした。ちょっと贅沢をしてしまった。贅沢を重ねるとそれがいつの間にか当たり前になり、さらに上の贅沢を選んでしまうのだろうか。少しゾッとする。

 寿司が来るまで他愛もない話。あーだこーだと言い合う。給料が下がったことや、Wi-Fiを取り替えたこと。寿司屋特有の口が広い湯呑でお茶を啜る。やーやーと言い合う。啜る。やーやーと言い合っていると6貫ほどの寿司が運ばれてきた。どれもこれも美味いそう。上で良かった。やっぱ上やな~と言い合う。食べてもやっぱ上や。上で良かったと言い合う。まるで自分に言い聞かせるようで面白かった。

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 しかし毎回毎回寿司は食べる順番を考えてしまう。好きなものから食べていく。淡白な味のものから食べていく。最後に一番大好きなものを食べていく。どれもこれもその場に応じて気分で決めていく。その日は淡白な味のものから食べた。淡白な味かどうかは見た目。直感。基準なんてない。結局はどれを食べるかをまた悩んでしまう。純粋な心で寿司を食わせてくれよ!自分に言い聞かせたい。

 BGMがふと横から聞こえた。隣の客が流してるのか、それとも店のBGMなのかわからないくらいなかすかな音量。80年代の邦楽プレイリストらしい。なんか聞いたことあるなと耳を澄ましているとピンときた。竹内まりやのセプテンバーや!


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何気なく耳に入った曲が自分の知っている曲だとなんだか嬉しい。最後に残したハマチを口に運びながらセプテンバーに合わせて体を揺らした。耳も口も嬉しい。