灯油・海・フリマサイト

 ここ最近は朝が非常に寒い。家から出るのも億劫になるくらい。起きてすぐに灯油ストーブをつけてなんとかする。冷たい空気にふっと灯油の匂いが散らばるのが好きだ。吸いすぎるのはいけないが、軽く匂うのが良い。暖かくなれば匂いはどこかにいってしまう。しかしまた部屋の気温が下がると灯油の匂いが染み付いている。そのとき隠れているな!と感じる。家に帰ってきても灯油の匂いで落ち着く。灯油は高いし、重たいし良いことは多くないが、この匂いに勝る暖房器具は他にないだろう。

 海が見たい。しかし寒い。春や夏になれば、海岸でぼーっとするのが気持ちいい。しかし寒い。どうしたものか。海好きなんて言えやしないじゃないかと思うが寒い。寒いことに負けてしまう。そりゃたくさん着込んで見に行けばいい話だけれども、そこまでするのもなと思う自分がどこかにいる。そういうときは乗り物や建物から、暖かい場所からポケ-っと見るのが良い。気温がぐっと下がれば遠くもくっきりと浮かび上がる。逆に遠くがぼんやりとしていると気温が高い証拠だ。須磨から友ヶ島でも見えたら、今日は寒い日である。天気予報を見れば、気温なんてすぐに分かる。しかし体感で気温を感じ、自分なりの測定方法で気温を考えるのも面白い。

 フリマサイト。よく使用する。服をよく買う。出品は今までしたことなかった。しかしここ最近アウターを買ってしまったため、出番が激減したアウターが一着合った。これもフリマサイトで買ったものだったが、またフリマサイトで売ろうとしている。リリースだ。フリマサイトは海である。一度は釣り上げたが結局は着ず、リリース。なんてうまい話ではない。ただ自分の計画性の無さを表しているだけ。とりあえず出品してみた。しかし売れない。まったくもって売れない。イメージではポンポンと売れる。出して一週間くらいで売れるだろうと甘く見ていた自分がいた。リリースするにも条件がある。いい写真を撮ってあげて、アピール文を書かないといけない。そしてなによりも出品者、つまり僕がとりわけ柔軟な人間であることを大々的に打ち出さなければならない。「コメント!値下げ交渉!全て可能。写真も追加しますよ!是非!」なんて書いちゃったりする。インターネット上、顔も名前も知らない。そんな売買でも、人は人としての温かみを必要とするのかもしれない。文章から伝わる人柄、梱包から伝わる丁寧さ、写真の撮り方から伝わる姿勢。そんなことを考えていると自分なりに売れそうな出品ページができあがった。出品して一ヶ月。まだ売れていない。