不自由を楽しむ

 先日賃貸の内見をした。何年ぶりだろうか、家を探すということを久しぶりに体験している。実際に図面を見たところ大丈夫だなと思う物件が、実際に見てみると全然だめだったりする。エアコンが置けない。電気家具付属だったが古い。何件かを巡ってみた感想としては「一長一短」どれもこれもいいな!と思うところと、だめだぁと思うところがある。今物件を探している土地は比較的古い建物が多く、学生街でも街の中心でもないのでコンパクトで必要最低限のものが揃っているという物件が非常に少ない。(その分安いのであるが)そのため洗面台がなかったり、洗濯機を玄関の横に置かないといけないといった状況で過ごしていかないといけない。

 

 必要最低限が揃っていないということは不自由を伴う。しかし不動産のおじさん曰く結構若い人たちが前まで住んでいたようである。それを聞いたとき少し嬉しくなった。自分と同じ年代の人が同じような物件を探している。そんな人は不自由の中で楽しめる人だろう。GR3を持っていて、カメラに疎い友人から「シャッターついてないってどんなカメラやねん」と言われたことがある。確かにシャッターがないと不便だ。暗い空間で人の顔が写らない。ここぞというときに暗くてブレる。しかしネットのどこかで見たような気がするがGR3の批評として「不自由を楽しむカメラ」と紹介されているのを思い出す。シャッターが無いなかで工夫しながら写真を撮るのが楽しい。またシャッターがない分軽いとも言えるだろう。確かに全てを搭載したカメラは良いかもしれないが、そんなものはない。あったとしてもべらぼうに高いだろう。前に住んでいた人たちも自分たちで工夫しながら過ごしていたのだろうか。

 

 数件物件を巡り、1件の物件が良いと感じた。エアコンはないし洗面台もない、そしてキッチンもせまい。しかし窓から見える眺望と部屋の大きさ、照明器具の可愛さに惚れた。不自由の中で楽しみたい。不自由だからこそできることもあるだろう。